神奈川県2025年度予算について(声明)
2025年5月20日
平和で明るい神奈川県政をつくる会
事務局長 山田 浩文
3月25日、神奈川県議会において知事提案の2025年度当初予算案が可決されました。
「平和で明るい神奈川県政をつくる会(略称「明るい会」)」の構成団体などは、県民の願いを実現する予算とするよう、県当局や県議会へ要求・要請、交渉などの運動をとりくんできました。
成立した予算は、県民の声や「明るい会」構成団体の運動などによって、一定、県民の願いを実現する方向で改善・前進した部分があります。一方で、全体的には、物価上昇などで県民や事業者の困難が増すなか、十分に要求に応える予算になっていません。
昨年度の県の税収は、物価高騰などによる企業収益の上昇や譲渡所得を中心とする個人所得の増大により、当初予測より増大しています。今年度も同様の収入傾向が見込まれていますが、相も変わらず「財政不足」を強調していることは実状を捻じ曲げ、県民の要求を抑え込むためと言わざるを得ません。
県が発行する公債は減少しており、逆に県の預金ともいえる「財政調整基金」は県自らが必要とする以上に積み増されています。神奈川県には財力が十分あり、県民の願いに真摯に向きあって予算・施策を執行することが求められています。
今年度予算では、私立高等学校等の生徒学費補助の拡充や県立保健福祉大学の入学金を半額にすること、県立病院への負担金の約10億円の増額、脱炭素社会にむけた再生可能エネルギーなどへの補助の新設・拡充など、評価できるものがあります。県民サービスの主体となる県職員の定数を増やしたことも評価できます。
また、予算編成における事業の見直しとして、「マイME-BYOカルテの見直し(廃止)」、「マグカル解放区の廃止、アウトリーチ解放区の見直し」がされたことは、県民にとってメリットが明らかでない事業であり当然と考えますが、事業自体が必要であったのか、県職員に無駄な負担を押しつけていなかったのか、などの検証が求められます。
前進面はありつつも、「神奈川版ライドシェア」に象徴されるように、全体的にはこれまで現知事が進めてきた、国の悪政を先取りし新自由主義的な施策を進める予算であると評価せざるを得ません。特に、県民サービスを後退・改悪する行革路線をさらに強行し、「中井やまゆり園」の独立行政法人化を進めようとしていることは、県の役割を放棄するものとして厳しく批判しなくてはなりません。
予算では「子育て支援」などを強調していますが、少子化は加速しており、克服する道筋が見える施策になっていません。教育や医療でも根本的な課題の解決につながる期待は持てません。小手先の予算・施策で取り繕うのではなく、全面的に県民の健康や暮らし・営業を支援する予算・施策に抜本的に転換する必要があります。
「明るい会」は県民のために予算が執行されること求めていくとともに、県政の抜本的転換をめざして2年後の県知事選挙にむけてとりくみを進めていきます。
以上